?などと思ったら、つい今の世相とダブって気になった。
( 写真:大きな杉の切り株から逞しく伸びる小さな竹 )
木に竹を接ぐ イラスト
cf. 1法例(明治三十一年法律第十号) 第二條 公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反セサル慣習ハ法令ノ規定ニ依リテ認メタルモノ及ヒ法令ニ規定ナキ事項ニ關スルモノニ限リ法律ト同一ノ效力ヲ有ス cf. 2民法(明治二十九年法律第八十九号)
(任意規定と異なる慣習)
第九十二条 法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。 老先生 ちなみに「民法」という翻訳語について、穂積陳重先生は、「民法という語は津田真道先生(当時真一郎)が慶応四年戊辰の年に創制せられたのである。民法なる語は箕作麟祥博士がフランスのコード・シヴィールの訳語として用いられてから一般に行われるようになったから、我輩は始めこれは箕作博士の鋳造された訳語であると信じておったが、これを同博士に質すと、博士はこれは自分の新案ではなく、津田先生の「泰西国法論」に載せてあるのを採用したのであると答えられた。そこでなお津田先生に質して見ると、同先生は、この語は自分がオランダ語のブュルゲルリーク・レグト(Burgerlyk regt)の訳語として新たに作ったものであると答えられた。法律の訳語は始め諸先輩が案出せられてから、幾度も変った後ちに一定したものが多いが、独り「民法」だけは始めから一度も変ったことがなく、また他の名称が案出されたこともなかったのである。」と述べられておる(『法窓夜話』「五一 民法」)。
木に竹を接ぐ
老先生 そうなんじゃ。 もちろん、フランス・ドイツのように、慣習を集めて統一した法典を作るという西洋式のやり方がベストなのは明治の人たちも分かっておった。国民も納得するし、法の実効性が高くなるからの。 そこで、1876年(明治9年)から1880年(明治13年)にかけて司法省(現:法務省)が全国の慣習法を調査したんじゃよ。その結果をまとめた『民事慣例類集』と改訂増補版である『全国民事慣例類集』を見ると、地域間の慣習法の違いに驚きを禁じ得ない。 国会図書館のHPで公開されており、PDF化してDLできるようになっておるから、興味があったら見るがよかろう。 例えば、江戸時代の相続は、長男が相続するのが一般的だったようじゃが、伊豆国田方郡では「男女ニ限ラス総テ年長ノ者相続スルノ権アリ」とされ、常陸国新治郡でも「男女ニ限ラス先ニ生レシ者相続スル風習ナリ」とされていたのに対して、陸前国宮城郡では「男子ノミ相続ノ権アリ女子ハ総領ト雖モ相続ノ権ナシ若シ兄早世スレハ二番ノ姉相続セス三
番ノ弟相続ス若シ先相続人ノ子アリテ幼年ナルトキハ先相続人ノ姉又ハ妹ヘ婿ヲ取リ幼者ヲ
順養子トスルコトモアルナリ」とされていたんじゃ。 生徒 へぇ〜江戸時代に女性が相続できた地域があったなんて、存じませんでした! 老先生 他にもあるぞ。例えば、婚姻は、村役場に届け出て、宗門人別帳に変更を記載すれば、完了するのが一般的だったんじゃが、三河国渥美郡では「婚姻ハ届入籍ノ期限定ナシ家内和熟シ様子ヲ見届テ取計フ慣習ナリ」とある。つまり、届出後、嫁が嫁ぎ先の家族と仲良くなったことを見届けて初めて婚姻が成立したわけじゃな。 また、伊賀国阿拝郡では「披露ト号シテ所役人ヲ招宴シ始テ婚姻ノ成ルヲ表スコトナリ」とある。つまり、村役人を披露宴に招待して初めて婚姻の成立が完了したわけじゃ。 生徒 めっちゃ面白いですね!!
1.容疑者は罪を隠そうと 木に竹を接ぐ ような弁解ばかりしている。 2.彼の 木に竹を接ぐ ようなプレゼンテーションでは新しい取引先を獲得することはできないだろう。 3.今日の彼は 木に竹を接いだ ようなファッションだ。この場に不釣り合いで少し浮いている。 「木に竹を接ぐ」を例文から学びましょう。例文1は 「会話」 です。 「容疑者は罪を隠そうとしているため話がちぐはぐである様子」 を示しています。話の筋が通っていないことが感じられますね。例文2は 「ビジネス」 です。 「彼のプレゼンテーションは筋が通っておらず内容が不十分であるさま」 を説明しています。新しい取引先の獲得は難しそうですね。
例文3は 「服装」 です。 「彼の服装はその場に不釣り合いである様子」 を表していますよ。「木に竹を接ぐ」は例文1や例文2のように 会話や文章の筋が通っていない場面 で多く使用されますが、例文3のように 「服装がちぐはぐな場面」 を示すこともありますよ。使い方をマスターして下さいね。
桜木建二
「木と竹」のように世の中には相容れない関係のものがたくさんある。「水と油」や「猿と犬」などが考えられるだろう。「水と油」や「猿と犬」が使われていることわざや慣用句を探してみよう。
「木に竹を接ぐ」の類義語は?違いは? image by iStockphoto
「木に竹を接ぐ」の類義語にはどのような言葉が考えられるのでしょうか。一緒に確認しましょう。 「矛盾」 「木に竹を接ぐ」の類義語には「矛盾」が考えられるでしょう。 「矛盾」とは「物事の前後が食い違うことや辻褄が合っていないさま」 の意。読み方は 「むじゅん」 です。「矛盾」は 「韓非子(かんぴし」 という故事が語源だと考えられていますよ。昔、矛と盾を売る楚の国の商人がいました。この商人は盾を売る際は「私の盾は堅く突き通すものはない」と言い、矛を売る時は「私の矛は鋭くどんな物でも突き通すことができる」と言っていました。
ある客が「あなたの矛であなたの盾を突き刺すどうなるのか」と聞きました。すると、この商人は答えることができませんでした。このように 「前後の話や行動が一致していないことや筋が通らないさま」を「矛盾」 と言い表すようになったと考えられています。とても有名な故事成語ですよ。知識として身につけておきましょう。
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